「……ん、あれ?」
目が覚めると、そこは外ではなかった。
あれ?
あたしグラウンドで倒れたはずじゃ……?
学校という場所にはあまりない、白いベッド。
壁には『体温計の正しい計り方』や『生活習慣病とは?』などといったことが記されてる壁紙。
見たことのあるここは、保健室だった。
「伊沢!?」
突然聞こえた声に、思わずびくっとした。
カーテンが開かれ、高村くんが現れる。
その顔はひどく焦っているような心配しているような、複雑な顔をしていた。
「高村くん……」
「大丈夫か?まだ痛いか?気持ち悪くないか?本当に大丈夫か?」
あたしのおでこに手をあて、何故か熱を計ろうとする高村くん。
その姿が可笑しくて、あたしはくすくすと笑ってしまった。
「……何だよ」
案の定、高村くんはむすっとしてしまう。
「ごめん、なんか面白くて。あたしなら大丈夫だよ」
あたしが笑いながら言うと、高村くんは大きく安堵の息をついて、「よかったー」と声を漏らした。
「高村くんがここまで運んでくれたの?ありがとう」
あたしは笑って言った。