それから高村くんとはあまり話さなくなっていった。


というよりは、あたしが一方的に高村くんを避けている。


一緒にいると、千春ちゃんの視線が痛いし、二人が話している隣に居合わせるのも嫌だった。


時間が経てば、胸の騒つきもおさまってくれると思っていた。


なのに……



「伊沢!!」



ああ、あたしのバカ。


体育の授業中に倒れちゃうなんて。


まあ、自分の不注意でもあるんだけど、
基本的にはあたしのせいじゃない。


今日の授業はソフトボール。
あたしがボールを運びだしている中、男子がバットで遊びはじめた。


あたしが近くにいることに気付かなかった男子は、そのまま大きくバットの素振りを始めようとして……



ゴンッ──。



真後ろにいたあたしの後頭部を、強打。


幸い、サスペンスみたいに血とか出るほどのものじゃなかったけど。


「っ痛……」


頭がガンガンというか、脳がぐわんぐわんしてる感じで。


バタリとその場に倒れ、意識を手放した。


「はる!!」



真っ先に駆け寄ってきたひーと、高村くんがあたしの名前を呼んだような気がした。