翌日から、千春という後輩はあたしたち……というより、高村くんのところにやってくるようになった。


「律センパイ♪」


と、可愛らしく名前を呼んではくだらない談笑を交わしている。


サッカー部の相沢くんには挨拶をする程度なのに、高村くんにはベタベタして愛想をふりまいているんだ。


あの手の女は──嫌い。




「はる、あの娘何なの?」


ひーが、廊下にいるツインテールの女の子を指差して問いかけてきた。


千春ちゃんは今日も二年生の階に来て、高村くんと何か話していた。


さっきから二人の笑い声が嫌でも聞こえてきて、イライラする。


「サッカー部のマネージャーだって。一年生」


「そのわりには……高村くんと妙に仲良しだね」


ひーの言う通り。二人は付き合ってるんじゃないかというぐらい、毎日のように会っていた。


「あの娘……高村くんのこと好きなんだと思う」


あたしの言葉を耳にしたひーが、眉をひそめた。


だって……あたしが通りかかると、千春ちゃんはあからさまに高村くんと距離を縮める。

あたしに見せ付けるかのように。