相沢くんがサッカー部に入っているのは知ってる。香波ちゃんから聞いていたから。


相沢くんと高村くんが仲良しなのも知ってる。二人はあたしとひーみたいにいつも一緒だから。


でも……こんなことは知らない。


相沢くんを経由して、高村くんは一年生の女の子と仲良くなっていた。


そんなの……全然知らないよ。



「伊沢?」



高村くんの声で、あたしはハッと我に返った。


「あ……ごめん」


自己紹介、あたしもしなくちゃ。



「伊沢……は……」



“ハルちゃん”
千春の“ハル”かな……。


あたしと……同じあだ名。



「……伊沢です」



“はるひ”と、何故か言えなかった。


「わあ!もしかして律先輩の彼女さんですか!?」


「え……」


「なっ……違うよ、ハルちゃん!」


あたしより先に、高村くんが否定した。


確かに、あたしは告白こそされたけど、高村くんとはただのクラスメイトで。
それ以上でもそれ以下の関係でもない。


でも、真っ赤な顔で必死に否定している高村くんを見ていると、なんだか腹が立つ。