放課後──。
「ごめんね、はる!」
両手を合わせて頭を下げるひー。
「今日、田代先輩と一緒に帰る約束してたの。だから……」
ひーは、申し訳なさそうに視線を地面へと落とす。
何でそんなに謝るんだろう。
確かに登下校は一緒にって約束してたけど、ひーにそのうち彼氏ができたらこういうこともあるだろうなって思ってた。
別に謝ることじゃない。
せっかくカレカノなんだから一緒にいないともったいないよ。
「謝らないで。あたしなら大丈夫だから」
笑って言うと、ひーは「ありがとう!」とあたしに抱きついてから、田代先輩が待つ校門へと走っていった。
その背中を見送り、バッグを肩にかる。
あたしも帰ろっかな。
「伊沢──っ!」
昇降口でローファーに履き替えていると、高村くんがあたしの名前を叫びながら上から駆け降りてきた。
「今日中里一緒じゃないの?」
「うん。田代先輩と帰るんだって」
「あ……そっ、か……」
田代先輩の名前を口にすると、高村くんは何故か悲しそうな顔をした。