ひーは、あたしを優しく抱き締めて、それから赤ちゃんをあやすみたいに頭や背中を撫でる。


「ごめんね、ひー……。
あたし、ずっとひーを妬んでた……。ひーは可愛くて優しくて、あたしと正反対で……ずっと、ひーみたいになりたかった」


「……うん」


“影”は、隣にいた“光”にずっと密かに憧れてた。


「ひーはみんなに愛されてて、田代先輩も……。あたし悔しくて……だからあんな……」


「うん……」


涙で顔はぐしゃぐしゃ。
声も震えて、鼻声で、ひーにちゃんと伝わってるのかわからない。


それでも言わなきゃ……。



「ずっとひーが嫌いだった……。でも本当は……大好き……!
お願い……もう一回、あたしと友達になってください」



一旦ひーから離れて、あたしは頭を下げた。


叶うなら……もう一度あたしと“友達”に……。


だけどやっぱり、今までのあたしを神様が許してくれるはずはなかった。



「やだ」



──うん、そうだよね。
あたしは散々、ひーを苦しめてきたんだもんな……



「“友達”は、いや」



え……


顔を上げると、ひーは優しく微笑んでいた。