──やってしまった。


勢いといつもの癖で、ついひーを叱ってしまった。


仲直りも、謝ることもせず、いかなり叱るなんて、あたしはつくづく最低な奴だ。


だけど、ひーは……



「うん、ごめんね。ありがとう、はる」



いつかのように、柔らかく笑った。


「ひー……」


「はるはいつも私を助けてくれるよね。ホントにいつも感謝してるんだぁ。ありがとう」


にこにこと無邪気に笑うひー。


その瞬間、堰とめていたものがあふれ出るように、
あたしの頬を熱いものが流れた。



「……っ、ひー!ごめんね!」



何年ぶりかに、ひーとちゃんと向き合おうとしてるからかな。


いつもはまぶしすぎて見ていてつらかったその笑顔が、何故か今はまっすぐ見れた。



「ひー、ごめん……ごめんなさい!今更謝っても許してもらえないかもしれないけど……あの言葉、撤回させて……!」



ひーが嫌いだった。


だけどあたしは、


確かにひーが大好きだった。



だって──



「はるっ……!」



ひーの腕の中にいるのが、こんなにも嬉しくて心地いい。