「ひー!!」



久しぶりに呼んだ名前は、すごく懐かしくて、あたしの耳にも優しく響く。


弾けるように振り返ったひーは、あたしの姿を目にすると、驚いたように声をあげた。



「……っはる!?」



ひーのそばまで駆け寄って、まずは呼吸を整える。
大きく、深呼吸を数回。


「どうしたの、はる?こんな時間に」


その言葉、そっくりそのまま返すよ、ひー。


「歩いてたら……ひーが見えたから……」


どうしよう、声が震える。


何を話そう……なんて謝ればいいんだろう……。


いつまで経っても続きを話そうとしないあたしを、ひーは不思議そうに首を傾げつつ見つめる。


その時だった。



「あっ……あぶない!!」



車道側にいたひーの腕を掴み、自分のほうへと引き寄せる。
それを見計らったかのように、猛スピードで通り過ぎていった乗用車。


間一髪でひかれずに済んだけど、前にもこんなことがあったような気がする。


「ひー!気をつけてっていつも言ってるでしょ!本当に怪我しちゃったらどうするの!」