それから、なんとなく手を繋いだまま雪道を並んで歩いた。
高村くんの手は大きくて優しさに満ちあふれているような感じ。
あたしの心まで熱を送り込んでは温めてくれる。
あまり会話はなかったけど、すごく心地よかった。
遠いのに、わざわざあたしを家まで送ってくれた高村くん。
あの角を曲がればあたしの家……というところで、
「あれ?前歩いてんのって……」
高村くんが足を止める。
あたしたちの前をちょこちょこと歩く女の子──。
「……ひー」
ひーだった。
こんな雪の中、傘もささずに歩いてる。
凍結した道路を、転ばないように慎重にゆっくりと。
家に帰っている途中なのか。
あの方向は、あたしとひーの家がある。
「ひー……」
文化祭の時以来、ひーとは一切口をきいていない。
「……高村くん、もうここでいいよ」
一方的に言って、あたしはひーとは別の道で帰ろうと歩きだす。
「行ってやらなくていいのか?中里のとこ」
高村くんが引き止める。
行くも何も、あたしは……
『ひーなんて、大っ嫌い!!!』