あたしのすごさについて力説しはじめるのは香波ちゃん。
「そうだよ、すごいよ!」
「はるひ、偉い!」
「見直したよ、伊沢さん!」
ふたりに続いて、クラスのみんなが口々にあたしを誉め讃える。
「みんな……」
こんなふうにみんなが“あたし”を認めてくれたことは、17年生きてきて今日が初めてだった。
それが嬉しくて、でもちょっと恥ずかしくて。
あたしはさらに声を上げて、子供のように泣きわめいた。
どうすればいいかわからないのと、認めてもらえたのがすごく嬉しかったので、涙が次から次へと溢れて止まらない。
「うわぁぁん!高村く〜〜ん!」
「おー、よしよし♪」
赤ちゃんをあやすみたいに、高村くんがあたしの頭や背中をぽんぽんと撫でる。
それを見て、みんなが爆笑。
一時は緊迫した昼休みの教室が、再び和やかな雰囲気に包まれたのを見計らったかのように、5限目の予鈴が鳴った。
それでも落ち着かなかったあたしは、先生に事情を説明して、高村くんに付き添われながら保健室へ向かった。