ずいぶんと熱を込めて言ったから、自然と息があがっていた。


先輩たちは、あたしに相当むかついたらしく、


「お前!!黙って聞いてりゃ、生意気な口聞きやがって!!」


「調子乗んのもいい加減にしろよな!!」


先輩たちは、怒りに満ち溢れたものすごい形相で右手振り上げる。

おそらく、あたしをビンタしようとしているのだろう。


歯向かったことを後悔してない。


ひーを守りたかったとかじゃなくて、ただあたしが言わずにいられなかっただけ。


だから……そんな顔しないでよ、ひー。


よけることもせず、「やめて」とも言わず、あたしはぎゅっと固く目を閉じた。



しばらくの静寂が訪れる。


だけど、いつまでたっても頬に衝撃はやってこない。


「……?」


そっと目を開けてみると、目の前にあるのは先輩ではなく、あたしより一回り大きな頼もしい背中。



「──後輩に手上げるなんて頭どうかしてんじゃないっすか?」



本当に、君は何で、いつもあたしを助けてくれるんだ。