教科書を机に叩きつけたことによって起きた、意外にも大きなその音はあたしが起こしたもの。


先輩のガンをとばす相手が、ひーからあたしへと移る。


「何、アンタも先輩に口答えする気?」


「はる……」


先輩が思いきりあたしを睨んでいるというのに、あたしは全然怖くなくて。


むしろ、何故か勝てる気でいた。



「先輩方、嫉妬すんのもいい加減にしてください」



自分でもびっくりするほどの低い声が、あたしの口から出た。

しかも無意識に。


心では、「口答えしたらはるひまで目を付けられちゃうよ!」と、必死に訴えかけてるもう一人の自分がいる。


だけど、本体のあたしはとにかく先輩に対する怒りで我を失っていた。


「自分たちがモテないからって、ひーによってたかってひがむのはやめてください。
ひーは何も悪いことなんてしてないじゃないですか!」


そう、ひーは何も悪いことなんてしてない。


なのにあたしは、



『ひーなんて、大っ嫌い!!!』