いつもなら、可愛いひーがこんなふうに責められていたら真っ先にクラスのみんなが助けるのに、今回ばかりは違う。
相手は先輩……。
高校生活を安全に過ごしたいのであれば、ここは絶対に逆らうべきところじゃない。
あたしもそのひとり。
なんだけど、この沸き上がる怒りをぶつけたくてしょうがない。
「ごめんなさいっ……。私……そんなつもりはまったく……」
「口答えしてんじゃないわよ!」
震える声でやっと言葉を発したひーだったけど、一掃されてしまう。
本当に何様なんだ、この人たち。
ひーはちゃんと謝ってるのに。
というか、そもそもひーは謝る必要なんてないはずなのに謝ってる。
なのに、この人たちの変わらない態度に腹が立つ。
「いーい?
田代くんはみんなのものなの。アンタひとりのものになると思ったら大間違いだから」
──バンッ!
全員があたしのほうに目を向けたのがわかった。