そんなある日のことだった。
「中里裕菜って、いる?」
昼休み、三年生の数人のギャルたちが、あたしたちのクラスにやってきた。
あまりに突然すぎる出来事に、それまでうるさかった教室は、一瞬で静まり返る。
「あ、はい。私ですけど……」
ひーがおずおずと手を上げた。
すると、先輩たちはずかずかと教室に入ってきたかと思うと、ひーを取り囲むようにして立ちはだかる。
そして、おそらくリーダーであろう女が、ひーを睨みながら言った。
「アンタでしょ?田代くんに告白された二年生ってのは」
ざわっと教室内が騒がしくなる。
真っ赤になるひーに、クラスのみんなが質問を投げる。
「マジなの、裕菜!?」
「あの先輩に!?」
「なんて返事したの!?」
困惑するひー。
すべてを知ってるあたしは、助け船を出せばいいのか放っておけばいいのかわからない。
「おまえらは黙ってろ!!」