そんなあたしの願いは虚しく、



「ごめんね……はる……!」



否定するどころか、ひーはあたしに頭を下げた。



「──ひーのバカ!!」



理性なんてものは、ここにくる前にどこかに落としてきたらしい。


気が付くと、あたしの右の手のひらは、ひーの左頬をしっかりと捕えていた。


「何で……!あたし、ひーにそんなこと頼んだ覚えないよ!」


「……私、先輩よりはるのが大事だから……」


何それ。
そんなの全然嬉しくない。


都合のいいこと言わないで。
好きな人振ってまで、あたしを大事にするなんて……。


本当に大事なら何でそんなふうに、あたしが傷つくようなことをしたの?



「そんな優しさなんていらない!余計あたしがみじめになるだけじゃん!!」



今まで、ずっと抱えてきた気持ちが爆発した瞬間。


もうダメ、止められない。


溢れてこぼれてしまったものを、再び戻すことなんてできない。