最後に登場したのは……田代先輩。
田代先輩がステージに上がってきただけで、女子の悲鳴に近い黄色い声が沸き上がる。
やっぱりかっこいいな……。
特に着飾ってるわけじゃなく、コンテストだというのに普段どおりの格好の田代先輩。
だけどオーラがあるというか、そこに立っただけで、その場にいた全員が魅了されてしまう。
「3年5組の田代です。よろしくお願いします」
軽く会釈して、田代先輩は、驚くべき一言を口にした。
「俺、グランプリ取ったらある女の子に告白します!見事結ばれるように、みんな応援しててください!」
──周りの歓声が、すごく遠くで聞こえた気がした。
“ある女の子”を、あたしは知ってる。
そして、100%結ばれることもわかってる。
だから……腹が立った。
こんなふうに公言して、田代先輩は本気でひーに告るつもりだ。
田代先輩にここまで言わせるひーが羨ましくて、ねたましくて。
“ひーになりたい”
こんなに強く願ったのは、今日が初めてだった──。