熱気に包まれた中、先にミスターコンテストが始まった。
コンテストは、男女共に一年生から順番にステージに上がり、簡単なアピールタイムを設けて観客の投票をあおる。
クラスの代表に選ばれるだけのことはあって、どの男子もかっこよかった。
そして、高村くんの番がきた。
「2年1組、高村律です!好きな食べ物は唐揚げで、嫌いな食べ物はピーマンです!」
……何だ、そのPRは。
せっかくかっこよくポーズを決めてても、PRがまるで小学生の自己紹介。
他の人たちは、女の子の好きなタイプとか歯の浮くようなキザなセリフを言ったりして、観客を盛り上げていたけど。
高村くんの盛り上げ方は、お笑い芸人の盛り上げ方と同じだった。
「なんかグランプリ取れたら賞金もらえるって聞いたんだ。すげー欲しいんで、みなさんの清き一票を俺にくださーい!」
ワァーと歓声があがる中、高村くんがあたしのほうに目を向ける。
完璧に目が合ってしまった。
「よろしく!」
そう言って、高村くんはウインクした。
あたしだけに向けて言った……わけじゃないよね?