あのあと、あたしは
『先生に雑用を頼まれて一緒に回れなくなった』
と、あまりうまくない嘘をつき、ひーと距離を置いた。
ひーと田代先輩が一緒にいたっていう噂は聞いてないから、ひーはそのままひとりで校内を回ったんだと思う。
せっかく、文化祭ぐらいは前みたいに、ただ純粋にひーを親友だと思っていた頃みたいに、楽しく過ごそうと思ってたのに……。
何で……こうなってしまうのだろう。
いつから、あたしたちはこうもすれ違うようになってしまったのだろう……。
「お疲れ、伊沢!」
占い師という自分の役割を無事終えると、高村くんが爽やかな笑顔でやってきた。
「……あ、高村くん……」
昨日のことを思い出し、なんとなく気まずくて顔を背けてしまう。
すると高村くんは、あたしの頭にぽんっと手を乗せた。
「昨日は……ごめん。無理に連れ出して。伊沢のことちゃんと考えてなかった」