「た、しろ先輩……!!」
反射的に立ち上がると、椅子がガタンと音をたてる。
それを見た先輩がケラケラと笑った。
「律に言われて来たんだ。はるひちゃんが占い師なんだね」
「は、はいっ……。成り行きで……」
ああ、もう!
しどろもどろで答えてしまう自分が嫌。
何でさらっと話せないの!
何でもっと目を見て話せないの、あたし!
自分で自分を怒ってもしょうがないのだけど、そうせずにはいられない。
せっかく来てくれたんだから、ちゃんとやらなくちゃ!
「えと、そちらにお座りください。これからあなたの恋愛傾向について占いますので、質問に答えてください」
「お、本格的だね。よろしくお願いします」
にかっと明るく笑って、先輩はあたしの向かいに座った。
先輩はひーのことを考えながら、あたしの占いをするんだろうな。
そう思うと、少し寂しくなってしまうけど。
でも大丈夫。
様子をこっそり見にきた高村くんが、
“頑張れ”
口パクで言いながらガッツポーズをしてるのが、視界の端に見えたから。