「っていうか、高村くん田代先輩のメアド知ってたんだ?」


「うん。俺の友達が先輩と同じ部活でさ、一緒に話してるうちに仲良くなっちゃった♪」


先輩のメアドか……いいなぁ。


「……教えてあげよっか?」


「!」


高村くんは心の声が読めるのか。


思わず疑ってしまうほど、タイミングよく聞かれた。


「い、いいっ!」


「ははっ、顔真っ赤だ」


冗談だったらしく、高村くんは楽しそうに笑って自分のブースへ戻っていった。


……本当は知りたい。


だけど、メアドを知ってしまえば諦めがつかなくなってしまう。


田代先輩はひーが好き。
ひーも口には出さないけど、先輩が好き。


だからあたしにできることはひとつしかない。


ひーと田代の幸せを願うこと。

遠くから見守るだけ……。



「はるひちゃん?」



二人のことを考えて少し落ち込んでいると、あたしを呼ぶ声が降ってきて。


顔をあげると、優しい笑顔がそこにはあった。