「リラックス、リラックス」
そう言って、いつの間にか隣にいた高村くんがあたしの頭を撫でた。
たったそれだけで心が落ち着くから不思議。
高村くんの大きくて温かい手は、いつもあたしを助けてくれる。
「ありがとう……」
あたしが笑うと、高村くんが満足げに微笑んだ。
「──…なので、自分から積極的に話すようにしましょう。以上で、恋占いを終了致します。文化祭楽しんでください」
あたしが言うと、恐らく後輩であろう可愛い女の子たちは、はしゃぎながら教室を出ていった。
「ふぅ……」
なんだかんだで占い師は順調にやっていて、あと30分で次のグループと交代する時間となっていた。
田代先輩は……まだ来てない。
「伊沢、先輩来た?」
「ううん、まだ」
あたしのブースにひょっこり現れた高村くんが、「えー?」と顔をしかめる。
「遅いなー。来てくださいってメールしてからもう30分以上経ってんのに」
むすっと頬を膨らませる高村くんは、なんだかすごく可愛く見えた。