何事もないかのように高村くんは笑ってるけど、あたしはドキドキが止まらなくて大変だった。


「田代先輩来るといいな」


高村くんは小声で言うと、「頑張れ」と肩を叩いて準備を始める。


そっか……。
高村くんにはまだ言ってなかったっけ。


田代先輩に振られちゃったこと……。


今でも覚えてる。
ひーのことを話す時の、田代先輩の顔。


“好き”という想いが溢れ出てるような笑顔だった。


「頑張れ」なんて言われても、もうどうしようもないんだよ、高村くん。


あの二人の間に、あたしが入る隙なんてないんだよ……。




「占いどうですかー?そこそこ当たると評判でーす!」


宣伝係の子の声が聞こえる。


占い師であるあたしや高村くんたちは、各ブースに入って待っていた。


あたしの担当する占いは、一応恋占い。


本を見ながらやるんだけど、人見知りだしうまく喋れるかわかんないしで、緊張しすぎでどうかなっちゃいそうだった。