ひとしきり大笑いしたあと、他愛のない話をした。
「それでね、相沢くんってば桜さんの話ばっかりでさー」
「あのふたり、ホント仲良しだよね〜」
香波ちゃんと相沢くんは、誰が見てもお似合いのカップルで、あたしも好きな人とあんな関係になれたらな、なんて憧れを抱いてる。
ふと、昨日田代先輩と会ったことを思い出してしまった。
ひーのことを話す時の、あの照れたような笑顔が脳裏に浮かぶ。
“香波ちゃんたちみたいに”
あたしには無理な願いだ。
だって、田代先輩の心にあたしはいない。
先輩が好きなのはひーだから。
いっぱい寝て昨日のこと忘れてたから、ひーとも楽しく話せてたのに……。
思わずため息が出る。
もう……笑えなくなってきた。
あたしの中に再び生まれはじめた黒い負の感情に、ひーが気付く様子はなく、話を続けようとする。
「あ、そういえば高村くんがさ」
ドクン、と心臓が跳ねた。