ばあちゃんの家から持ち出してきたシャベルと、自宅から持ってきた懐中電灯を手に、あたしは真夜中の山でひたすら穴を掘っている。
タイムカプセル捜索一日目、
こんなにキツい肉体労働だなんて思わなかった。
「本当にここなの?」
汗を拭いながら尋ねる。
彼は難しい顔をしながら「多分な」と答えた。
「多分って…。」
彼の記憶だけが頼りなのに。
本当に、ばあちゃんも、この人も肝心なことを覚えてないんだから。
「大体、何で中学校の裏山なんかに埋めるわけ?」
「この山で、よく明子と遊んだんだ。僕の妹も一緒に。」
妹がいたのか。
それより…そんなことより……ドン引きだ。
「よく、こんな場所で遊べるね…。」
だって、この山はワケありなんだから。