高嶋は目が合うと抵抗する隙も与えず、あたしの顔面に履いたままの上履きを押しつける。
あたしの口からは呻き声が漏れた。
「ババァみてぇな名前の千鶴チャン。何睨んでんの?」
頬に押しあてられる上履きがグイグイと顔を踏み躙る。
鼻を掠めるカビ臭い匂い。
同じ教室には、ひっそりと息を潜めている人もいれば、
クスクスと笑ったり、面白そうに見ている人もいる。
グラグラと揺れる視界の片隅に美季たちのグループが映った。
美季はあたしを見て手を叩いて笑っている。
ナオミも楽しそう、
彩織はずっとあたしに冷たい視線を向けている。
何がそんなに嬉しいの?楽しいの?
その派手な女子のグループの中で、愛美だけがあたしを見ないようにしていた。
影のように存在を消していた。
愛美…。
何で、知らんぷりするの?