「そんなところに立ってないで座りなさい。」



お母さんに急かされて、でもあたしは動かなかった。

小さな抵抗のつもりだった。


そんなあたしに、お母さんは溜め息を吐いてみせる。


「ちづ!大木先生、心配して来てくださってるのよ!」




心配?

ふざけんな、こっちは迷惑なんだっつーの!



あたしが、教室で一人ぼっちだったこと知ってたじゃん!

知ってて見て見ぬフリしてたくせに!



キッと睨みつけると、真理子ちゃんは困ったように苦笑して目を逸らした。


あたしの態度を見逃さなかったお母さんはさっきより感情的な声を上げる。


「ちづ!アンタいい加減にしなさいよっ!」


「まぁまぁ、お母さん。今日はもう失礼しますから。」



立ち上がる真理子ちゃんに、お母さんは「すみません」と何度も頭を下げながら言った。



なに頭なんか下げてんだよ、クソババァ。