あたしは縁側に横になり、目を閉じてみた。
聞こえるのは風鈴と風の音、蝉の鳴き声、さわさわという葉っぱが揺れる音。
床は香ばしいような木の匂いがした。
ひんやりと冷たくて気持ちが良い。
小さい頃から、あたしはここで眠るのが好きだった。
特に遊び疲れた夕方なんかは決まって縁側で寝ちゃって、その度にばあちゃんは必ずタオルケットをかけてくれた。
夏は、あのブタの蚊取り線香を置いて、団扇で扇いでいてくれたりもした。
あたしは目覚めが悪くて毎回グズったけど、ばあちゃんは嫌な顔一つしないでギュッと抱きしめてくれた。
「たぁくさん寝たねぇ。良かった、良かった。」
癇癪を起こすあたしを宥めるように、一定のリズムで優しく背中を叩いてくれる。
そのうち、いつの間にか泣き止んで、照れ臭くなって笑いだしてしまう。
そんなあたしを見て、ばあちゃんは得意気に笑うんだ。
「ほぉら、泣いたカラスがもう笑った。」
ばあちゃんはそう言って、またギュッとしてくれる。
あたしは、昔からばあちゃんが大好きだった――。