「きっも!」


あたしの頭上から降る声は高嶋だ。


静けさが包む教室に、数人の女子のあたしを嘲笑う声が漏れた。




「コイツ、終わってんじゃね?」


「つか、死んでんじゃね?」



背筋を冷たい汗が這う。


生きた心地がしない。

あたしは、蛇に睨まれたカエルだ。




身動き一つせず、何のリアクションもないあたしに苛立ったのか、久保田が怒鳴った。


「オイッ!ブス!聞いてんのかよっ!?」


同時に、あたしの机は蹴り上げられ、どこからともなく「キャー!」という悲鳴が上がる。


机は、あたしの額にぶつかって、派手な音を立てて転がった。


しかし、痛みよりもあたしを支配していたのは純粋な恐怖だ。



彼らとの間に、もうあたしを守るものはない。




顔を上げると、鋭い目つきの高嶋と、ニヤニヤと笑う久保田がいる。