「仲良いよねぇー。」


「…え?」


女子トイレの鏡で校則違反の化粧を念入りに直す美季の横で、あたしは緊張した。

あたしたちは二人きりで、白々しい蛍光灯がついていた。




「幼なじみっていいよねぇー。」


「…そう?ウザイだけだよー。」


美季の話し方は普段の甘えたような感じとは違っていた。

棒読みで、あたしは素直に怖いと思った。

怖かった。



「でもさぁ、彩織の気持ちとか考えてほしいんだよねー。不安になったりすんじゃん?」


「…そ、だよね。ごめん…。」


「千鶴ってさぁ、ちょっと鈍感だよねー。」




美季は笑っていた。

その笑顔も怖くて堪らなかった。