幸生。
アンタ、まだここにいる?
あたしは心で問いかけた。
幸生は返事をしてくれないけど、きっと傍にいるんだろう。
「…ばあちゃん、これ覚えてる?」
あたしは巾着をばあちゃんに見せる。
目を閉じているばあちゃんには見えないけど、それでも見せるように持った。
「ばあちゃんの宝物、ここにあるよ。」
おはじきをいくつか取り出して、ばあちゃんの手に握らせた。
その上から、あたしはばあちゃんの手を握る。
「ちゃんと、ここにあるよ。」
お母さんが泣きだした。肩を震わせて俯いている。
あたしは、ハナミズキの絵を広げた。
「ばあちゃん、幸生だよ。
幸生が埋めた宝物だよ。
きっと…きっとばあちゃんに…渡したかったんじゃないかな…。」
あたしもまた、涙が溢れる。
「見せ、見せたかったんじゃないかな。
ばあちゃん、あのね…ハナ…ミズキね、ちゃんとあったよ…。
雪…雪みたいに咲くんだよ。
幸生は…幸生はね、時間かかったけど、ばあちゃんとの約束、守ったよ!」