突然、悠が「あっ!」と呟く。
同時にシャベルを動かす手が止まった。
何かが当たった感触があったようだ。
あたしたちは手で掘り始める。
爪の間に土が入っても気にならなかった。
掘り進めていくと、箱の角らしき部分が見えた。
もう少しだ、もう少し…。
徐々に姿を現す四角い箱。
それは元々の色が何色だったのかも分からなかった。
茶色く変色していて、カビも生えている。
触れてみると、ぐっしょりと濡れていた。
タイムカプセルは想像してたよりも小さな正方形の箱だった。
お世辞にも立派、頑丈とは言えない。
「保存状態が良くないかもしれないな。」
悠が呟く。
冷静な悠と違って、あたしはまだ信じられない気持ちでいた。
本当にあった。
本当に、タイムカプセルがあった。
ここに、幸生とばあちゃんの思いが詰まってるんだ。
二人の青春が、
二人が生きたあの夏が、
今ここにある。