石段が見えてきて、長く続くそれを上りきると、神社がその姿を現した。
「うわ…。」
悠は、あまりの不気味さに声を上げる。
先程までは天高く伸びた木々が空を隠していたけれど、ここは開けているから夜空がよく見渡せた。
小さな小さな星が点々と輝く鈍色の空、
ボートのような形をした欠けた月が光っている。
「目印みたいなもんはねぇなぁ…。」
悠が周囲を見回しながら言った。
今にも壊れそうな神社と鳥居。
神社の向こうは“神隠しの森”、
あたしたちは緑の葉をつけた木々にぐるりと囲まれている。
「…とりあえず探そう。」
「あぁ。よし、頑張るか!」