声を押し殺して泣いていた私の肩を抱きしめる母、
それでも私は地面を叩き続けました。


「明子っ…明子!」




戦争なんか…戦争なんかっ!戦争なんか止めたらいい!!

日本が負けたって構わない!

何で…何で幸生くんが……何で…。


「ふっ…うっ…はぁっ…ああぁぁぁ…。」


「明子っ…明子…。」


母が私を抱きしめます。






幸生くんの綺麗な瞳、笑顔。

繋いだ手。


最後に見た、その背中。




幸生くんだったものの一つ一つが炎の中に埋もれていきます。




そして、それは、
とめどなく溢れる涙に遮られて、見えなくなってしまいました。