「ウチらさぁ千鶴に言いたいこといっぱいあるのにさぁ、ずーっと学校休んでるしぃー。」


「ち、違うの!」


何かを言わなくちゃ、そればかり先走って可笑しなタイミングで口から出た言葉。


一瞬、シンと静まり返ってから美季はケタケタと笑いだす。


「え?何が?意味分かんないんだけど。」

ナオミが真顔で言う。
その目はあたしを蔑んでいた。


彼女たちに囲まれたあたしの足は、今にもガクガクと震えだしてしまいそうだった。




「まぁいいやぁ。とりあえずさぁ、土下座でもしてよ?」

美季は、あたしに顔を近づけて当然のように言う。


「千鶴は無神経だから分かんないんだろうけど、アンタのおかげで彩織が超傷ついてんの。」


「…………。」


「成海くんとデキてた上に公開チューだよ?」


「デキてないっ!」


「さっきだって、そこで痴話喧嘩してたしー。」


「デキてないってば!」


「は?」


美季は低い声で、あたしを睨む。

あたしはたじろいで何も言えなくなる。


「口答えしてんじゃねぇよ!」

ナオミが怒鳴って、
彩織はあたしを睨みながら「サイテー」と呟いた。



あたしたちの周りを通り過ぎていく人たちは、何事かと思ってチラリと見るけどそれだけだ。

誰も助けてくれない。