悠の声を最後に再び教室が静まり返る。
すると、聞こえてきたのは彩織の啜り泣きだった。
美季とナオミは、彩織の背中に手を添えてキッとあたしを睨んでいる。
愛美は、ただ俯いていた。
「へぇ〜そういうこと?」
新しいオモチャを見つけた子供のように、楽しそうに高嶋が言った。
「前から、なぁ〜んか庇ったりしてっから変だとは思ってたけど!そういうこと?」
「はっ?」
眉を寄せる悠に、高嶋は不敵な笑みを向ける。
「お前ら、デキてんだろ?」
それを聞いた久保田と草野は大袈裟に騒ぎだす。
つられるようにして、教室も異様な空気になった。
一緒になって騒ぎ冷やかす男子たち、
一方で女子たちはナイフのように冷たい視線をあたしに向ける。
小さい頃は女顔とからかわれて、あたしの背中に隠れていた悠、
だけど中学に入って背が伸びてからは女子に人気になっていた。
この状況が最悪なことくらいバカなあたしでも分かる。