呪いとか、噂とか、ちっとも怖くなかったあたしは、悠を誘って神社へ向かった。



言いだしたのは勿論あたしで、悠は反対していた。

大反対だ。


それでも、あたしが「意気地なし!」と言うと、半ベソをかきながらついてきた。


遊び半分だった。
怖くなったら帰ればいい、そう思っていた。




展望台の先にある細い道を二人で歩いた。

だんだんと険しくなり、道と言えるものではなくなっていく。

草を掻き分け、地面に手をついて進んだ。


山の中は昼間でも薄暗く、天高く伸びた木々が空を隠していた。




ようやく神社に辿り着いたものの、目の前には果てしない長さの石段がある。

その時にはもうとっくに帰りたかったけど、あたしは意地になっていた。


悠の手を引っ張って石段を上りきると、問題の神社があった。



人の気配なんて一切なくて、もうずっと長い間放置されていたような小さな神社。


不気味だと思った。

怖かった。





でも、その時。
雨が降ってきたのだ。


しかも、ほとんど日が暮れかけていた。