「っバカにしてんの!?」


頭にきた。
こっちの気も知らないで!


彼は笑いながら口を開く。

「ごめん…怖がりなんだな。」


「…はぁ!?」


それで謝ってるつもりか!?



心の底から面白いのか、彼は涙を拭いながら笑う。


「ちづは面白いなぁ。僕だって似たようなもんじゃないか。」




……そうだった。

彼は幽霊。
マジ幽霊だった…。





大きな声で、全身で笑う彼を見ていたら、どうしようもなく恥ずかしくなった。

顔が熱い、耳が熱い。


「だって…アンタは幽霊らしくないんだもん!」


ただでさえ幽霊らしくないのに、そんな顔で笑わないでよ。



彼の笑顔は生きてる人より生きてるって感じだった。

こんなふうに思い切り感情を曝け出す人、あたしは初めて出会ったと思う。



ムカついてたのに、
頭にきてたはずなのに、
急にその笑顔を見ていられなくなった。


おまけに奇妙な息苦しさも覚える。




あたし、何でこんなにドキドキしてるんだろう。