「それなのよね・・・」
そう言うと、椅子ごと吉沢に向いた。

 吉沢も、あいている椅子に腰をおろした。
「鑑定にはまわしたんですか?」

「まぁ、一応ね。時間はかかるだろうけど」

「もし、山本が言うことが本当であれば・・・」

「吉沢くん」
吉沢の言葉をさえぎるように、植園が言った。

「はい」

「いい?私たちは信念に基づいて捜査をしているの。『もし』なんて考えはいらないの。今ある証拠からは山本雪乃が犯人であることは間違いない。だったらそれだけを今は考えなさい。違う可能性については、違う証拠が出てから考えればいいの」

「すみません」

 机に向き直ってお茶を飲む。吉沢は、自分のデスクに戻ったようだ。

 自分がイラだっているのは植園自身がよく分かってた。

「なんなのよ・・・」
思わずつぶやきがこぼれた。