「ソノオンナ、コロシテヤリタイ」
キャシーは怒り心頭といった感じで、顔を真っ赤にしている。

 和美はギョッとキャシーを見やって、
「あかんで、さすがに殺人は。それよりも、なんとか偽の証拠ってことを証明せんとな。雪ちゃん、松下が真犯人やっていう証拠とかないかよく考えてみ?」
と、話題を雪乃にふった。

「彼女とはそんなに仲がいいってわけじゃなかったんです。それが急にいろいろ話しかけてきて・・・そういう作戦だったんですね」

「敵は頭がいい。でも、捏造の証拠ならきっとどこかにボロがあるはず。弁護士さんが松下の家宅捜索を認めさせれば何かが出てくるかもしれへんけどなぁ」

 キャシーが鼻息荒く、
「デモ、ナニモ デテコナカッタラ?ソノオンナ、キット ショウコケシテルヨ!」
とくやしそうに絨毯をこぶしで叩いた。

 雪乃は黙ってハンドタオルで目を押さえた。

「大丈夫か?」
和美が肩に手を置くと、雪乃は鼻をすすりながらうなずいた。