息を飲んで話を聞いていた雪乃は、大きくつばを飲み込んだ。
「それから・・・どうなったんですか？」

　和美は天井を見上げたまま、「ふふ」と笑って、
「うちはな、やんちゃな事もたくさんやったけど、そっちの世界にだけはやっぱり染まりたくなかったんや。それがあの瞬間分かったんや」
と、目を細めて言った。

　しばらく沈黙した後、和美は言った。
「だからな、その武藤のアソコを思いっきり蹴っとばしてやったんや」

「へ？」

「そりゃあもう痛がってな～。のけぞってソファからひっくり返ったんやろな、テーブルに頭打ってうめき声あげとったわ」
おかしそうに和美は笑った。

　それを想像して、雪乃も思わず笑ってしまう。