先に出所したのはサキだったが、その後も手紙のやりとりをしていた。実家には戻りたくなかった和美に、サキは手紙で『大丈夫、迎えに行くから』とうれしい手紙をくれていた。
「お疲れさんでしたな」
運転席から降りてきた50歳くらいの男が言った。
にこやかな男性は、武藤と名乗った。一見すると普通のサラリーマンに見えなくはないがブランドスーツと高そうな時計、そしてなによりもその目がカタギではないことを表していた。
「武藤さんは、私の恋人なの」
うれしそうに紹介するサキを見て、和美はあいまいに微笑みながら挨拶をした。
刑務所時代、サキから武藤の話は幾度も聞いていたが、武藤には本妻がいるということだった。そして、武藤がヤクザの世界に身を置く人物ということも知っていた。
「お疲れさんでしたな」
運転席から降りてきた50歳くらいの男が言った。
にこやかな男性は、武藤と名乗った。一見すると普通のサラリーマンに見えなくはないがブランドスーツと高そうな時計、そしてなによりもその目がカタギではないことを表していた。
「武藤さんは、私の恋人なの」
うれしそうに紹介するサキを見て、和美はあいまいに微笑みながら挨拶をした。
刑務所時代、サキから武藤の話は幾度も聞いていたが、武藤には本妻がいるということだった。そして、武藤がヤクザの世界に身を置く人物ということも知っていた。