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___外の空気がこれほど違うとは思わなかった

 それが、和美が刑務所を1歩出たときの素直な感想だった。

 後ろには厚く高い壁が外界との境界線となり、寒々しいグレーがそれを引き立てている。

 見送りに来た担当官が、
「もう2度と来るんじゃないぞ」
と、安っぽいドラマのようなセリフを短く言うと去って行った。

___2年半

 それだけの時間がたってしまったことが、まだ非現実に感じられる。外に出たら『あれが食べたい』『これをがしたい』とずっと思い続けていたのに、いざ外に出るとそんな考えはきれいにふっとんでしまった。

 『覚せい剤取り締まり法違反』、それが和美に課せられた刑の名前だった。これで2回目の刑であり、1回目はまだ25歳の頃で、その時には執行猶予つきの判決ですんだため、刑務所入りはまぬがれていた。