「そうですね、そうしてみます」
雪乃の目に涙があふれた。それはすぐに、こめかみを伝い流れ落ちた。

 泣いていることを悟られまいとするように、薄い毛布を眉毛まで上げる。


 しばらくして和美の声がした。


「また、『昔ばなし』してええか?」