「そもそも」そう言った後、和美はもったいぶるように残り2人を見渡した。
「なぜ、雪ちゃんが覚せい剤の入ったケースを持っていることを警察は知っていたのか?ってこと。昨日の話じゃ刑事は確信を持って乗り込んできたわけやろ?」

 雪乃は思い出すかのように宙を見上げた。
「はい、絶対にあるって知っている感じでした」

「それに、家宅捜索令状もある。令状ってのは、よっぽどのことがないと出ないわけ。つまり、警察はなにかしらの情報を手にしていて、それを元に雪ちゃんがあやしいとにらんでいた・・・そういうことになるわな。そこで、あやしいのが・・・」

 和美が便箋に『X』と書く。

「バツ?」
雪乃が和美の顔を見る。

「オー、コレ、エックス ジャナイカ?」
キャシーが喜ぶように言った。

「キャシーの正解。このXってのは人のことや。警察に情報を流した人物がいるんやないやろうか。そして、このXの可能性が高いのは、雪ちゃんに大学でケースを渡した友達やないか?」