「大人になってから聞いたんやけどな、鍵をさしっぱなしにした工事会社も責任を感じて少しは弁償してくれてんて。でも、それでも高かったやろうな」

 雪乃は目をパチクリさせ、
「そうとう、やんちゃだったんですね」
と感心するように言った。

「そうなるなぁ。もう次の日から学校でこの話は持ちきりで、中学になってもな、知らないやつからも『あなたが、あの有名なブルドーザー少女ですか?』って何度も聞かれたわ」

 ブルドーザー少女、その言葉に思わず雪乃はふきだした。

「こらぁ!早く寝なさいよ」
巡回していた夜勤職員に注意され、2人は「はぁい」と答えた。


「和美さん」
静寂が戻った部屋で、雪乃は小声で声をかけた。

「ん?」