和美はやれやれというふうに首をふった。
「雪ちゃんは甘いわ~。人間なんてな、どこで恨みをかってるかなんて分からへんで。例えばな、自分の持ってる服と同じのを持ってる人を見るだけで恨みをもつ人だっているんやから」

「へぇ、そんな人いるんですか?」

「まぁ、うちかてそういうタイプやからな」

「・・・」

 ごろんとキャシーが絨毯に横になった。
「ユキチャン、ソノフレンド、イツ、ケースクレタカ?」

「たしか、2週間くらい前ですね。大学の授業の間に突然渡されて『少しだけ預かってて』って」

「ソレ、ダレカ、ミテル?」

「ううん、トイレに行った時にいつのまにか後ろについてきてみたいで、そこで渡されたんです。誰もいなかったと思う」

「目撃者なし、か・・・」
和美があごに手をあてて考え込む。

「・・・これから私、どうなるんでしょうか?刑事さんに10日から20日くらいはここにいることになる、って言われたのですが」