財布や腕時計など、全てを奪われた雪乃に渡されたものは、石鹸・シャンプー・歯ブラシセット・ハンドタオル、そして着替えが数点のみだった。

 それらを持って部屋を出る。

 廊下は薄暗く、幅も2名通るのがやっとというくらいだった。右に曲がると居室が右側にいくつも並んでいるのが見えた。廊下には職員以外出ておらず、居室には鉄格子に金網がはりめぐらされていた。

 各部屋には2~4名の人がいて、皆が雪乃を遠慮なしに眺めていた。

「ここがあなたのロッカー。普段は施錠してるから」
そこに荷物をしまうと、すぐに鍵がかけられた。

 部屋11と書かれたところで職員が立ち止まると、ドアについてる南京錠を開ける。さらにレバーを上に回すと、ドアは手前に開いた。

「あなたが生活する11号舎。37番、40番、新入りが来たからよろしくね」
最後の言葉は中にいる2人に声をかけているらしいが、わきに立っている雪乃にはその様子は見えなかった。