椅子に座らされると、目の前にお茶と弁当箱が置かれた。

「あなたの入る部屋の人たちの夕食は終わっていますから、ここで召し上がっていただきます」

 壁の時計を見ると、19時すぎになっていた。

 お箸を渡され、すすめられるままにふたを開ける。弁当箱の半分には白米がつまっており、そのほかにはメンマの煮付け、そして小さなフライが入っているだけの質素なものだった。

 ひと口食べて顔をしかめる。

___不味い・・・。

 雪乃の表情を察してか、若い職員が笑いながら、
「味はおいしくないかもしれないけれど、一応これも税金でまかなわれているものだから。でも、しっかり食べて体力落とさないようにしないと」
と言った。

 うなずいてみたものの、3口ほどでどうにも箸がすすまなくなる。
 
 不満げな職員に「疲れてしまって」と言い訳をして、夕食は終わりにしてもらった。