サンダルにはマジックで大きく『33』と書かれていた。

 不思議そうにその数字を眺めている雪乃に、職員は言った。
「ここでは皆、お互いを名前ではなく番号で呼び合います。あなたの番号は33番、覚えておいてください」

 ゆっくりとうなずく雪乃を確認すると、職員はマニュアルを読むように無機質な声で続けた。

「後日、検事局に行ったりする際には、いろんな署に留置されている人が集まります。その時あなたは『渋谷33番』と呼ばれます。いいですね」

「渋谷33番・・・」
雪乃はサンダルを両手に持ったまま、その番号を反芻した。