「つまり、言いたくないことは言わなくていいってこと。それが黙秘権」
イライラした様子を見せながら、女刑事は言った。

「はぁ、なるほど」

「でも、素直に話したほうが良いのはたしかよ」

「はぁ・・・結局どっちなんですか?」

「自分で考えなさい!」
ピシャリと言い切られる。

 女刑事はキーボードを打ちながら取り調べをはじめた。
「私たちはあなたの部屋から、大量の覚せい剤を発見しました。ひとつはあなたの自宅にて鑑定済み。残りについても科捜研にて分析をはじめます。そこまではいいわね?」

 雪乃はうなずいた。

「そして、それらはあなたのもので間違いはないわね?」

「ちがいます!」
雪乃の答えに、パソコンを打つ音が止まる。

「どうちがうの?」

「あれは友人に『預かってて』と言って渡されたものなんです。私のじゃありません」